ゴミ箱の夢

小学校の卒業アルバムには
「僕の夢」という題で書かれた作文があった
何も知らなかった頃に 間に合わせで書いた
他愛もない夢

日中のオンラインゲーム世界の中は
比較的 閑散としていた
いるのは学生やフリーターなど
暇を持て余している者たちなのだろう
 
先日リリースされたばかりの そのゲームを
レベルが上がらなくなるまでやりこんで
私はコントローラを捨てた
 
 
夜半
惰性で観に行ったクラブハウスのイベントを
途中で抜け出し 帰宅した
息が上がっていた
 
喉がカラカラに渇いていたが
構わなかった
私は部屋中の引き出しという引き出しをひっくり返し
押入れやゴミ箱をあさった
 
何もなかった
 
何もあるはずがない
あの頃 作ろうとしていたものを
捨てたのは 自分自身なのだから
 
私は為す術なく
ベッドに横になって
笑った
声を上げて 笑った
 
再び気がつくと
窓から
朝日が差し込んでいた
 
私は立ち上がった