「特別」と呼び合える時間のなかで
昔、読んだとあるファンタジー小説の主人公は、言っていた。
――深く関わり合うようになった人ひとり一人が、みな特別な存在だと。
そこに序列はないのだ、と。
なんだか最近になって、ふとそれを思いだして、共感を覚えた。
100人の知り合いがいたら、そこには100通りの「関係」があっていい。
「友だち」だとか「同僚」だとか、ありふれた一般名詞じゃなくて、私とあなたの関係は、世界で唯一の固有名詞であるべきだ。
そんな風に思える人は、死ぬまでにどのくらいできるだろうな。