夏の日

「川を渡ろう」
夫が手招きする。
私は目を見張りつつも、差し伸べられた手をとる。

夫が淵に進んでいく。ねえ、と声を掛けるが止まらない。
夫は肩まで川に浸かり、頭を沈めた。

私は手を振り解こうとするが、できない。
苦しい。息ができない。
ブラックアウト。


目を覚ますと、二人は安らかな世界にいた。
私たちは顔を見合わせて、笑った。