2012-09-23 脱皮 詩 影が降ってきた 大空を駆ける 彼女の影だった 触れたら崩折れるような 薄く脆い羽根を 無心に震わせて 切り裂くような 叫び声で 灼けるような夏を 眩しいほどに 謳歌していた 私は彼女の影を追った 母なる樹から 生命を失くした脱け殻が 音もなく落ちた 墓標のような 脱け殻の山の頂きに 影はもう 遥か彼方だった 私もまた 自分を脱ぎ捨てた 今より前に進むために 何度も何度も 自分を捨てた 振り返ることもなく いつの日か 大空を駆けるためだけに