脱皮

影が降ってきた

大空を駆ける
彼女の影だった

触れたら崩折れるような
薄く脆い羽根を 無心に震わせて
切り裂くような 叫び声で
灼けるような夏を
眩しいほどに 謳歌していた

私は彼女の影を追った

母なる樹から
生命を失くした脱け殻が
音もなく落ちた
墓標のような
脱け殻の山の頂きに

影はもう 遥か彼方だった

私もまた
自分を脱ぎ捨てた

今より前に進むために

何度も何度も
自分を捨てた

振り返ることもなく

いつの日か
大空を駆けるためだけに