死を夢見る少女 〜最後の不死者〜 1
プロローグ
「ありがとう」
少女は満面の笑顔で言った。
今まで一度も目にしたことがない、眩しい笑顔だった。
その陶器のように白い腕から徐々に体温が削がれて、僕の腕から滑り落ちていく。
――待ってくれ。
声にならなかった。何もかもが唐突すぎた。
既に、少女は絶命していた。
わずかに赤みが残っていた唇も、みるみる内に生気を失った。
嘘だ。
僕は小さく首を横に振った。
目の前で起こっている事実が受け入れられなかった。
僕は彼女の死体を揺さぶった。
何度も何度も、声が枯れ尽くすまで彼女の名を叫んだ。
『――なんてね』
そう言って、嘘のように起き上がってくれたら、どんなにいいか。
しかし、
彼女が二度と、生きて僕の前に還って来ることはなかった。
僕は慟哭した。
(第一章 第一話に続く)
『小説家になろう』掲載作品