私の戦うべき場所

二度目のオーディションの通知を開いて また閉じて 私は宙を見上げて 大きなため息をついた。 失望と落胆 悔恨と 少しの安心 自分を試したかった 何が成せるのか 知りたかった でも その舞台にすら立てなかった 太陽は 今日もフォルティッシモで輝いている …

365日

気がつけば、 Facebookの友達の数は とっくに一年の日数を超えてた。 一日一人ずつ会っても、 一年間じゃ足りない。 そう考えると、 一年にたった一日でも 一人の人を独占できるのって、 なんて贅沢なんだろうと思う。 毎日、顔を合わせることは 決して当た…

サイレン

ぴちゃり。 水の音がする。 目が覚めて、眠っていたことを思い出す。 朦朧とする意識が具象と化し、二秒前まで見ていた夢が霧散する。 ベッドから、素足で床へ降りる。 ひんやりとした感覚が足裏を包む。立ち上がると、思考はより覚醒へ向かう。 窓から吹く…

狩り

白く輝く無慈悲な太陽が 干上がった大地から 何もかも蒸発させる頃 私と彼女は 並走していた 灼けるような暑さも忘れ 私たちは ただ 明日を生き抜くためだけに 疾駆していた 心臓が 休むことなく 鼓動を刻み 全身が血流で満ちてゆく 一歩ごとに 蹴り上げられ…

7番街

7番街に降る雨が 罪の焼け跡 滲ませる羽根の折れた天使が 崩壊していく街から 私を連れ出してくれる大地が揺れて 石に閉じ込められた獣たちが飛び出す 怪異にあふれた山野を 私たちは駆けて行く破壊の巨神が 文明を蹂躙する 逃げ惑う人々 立ち向かう指揮者7…

サブアカウント

名前を呼んでほしいんだ 君が呼んでくれたら 僕はこの世界に 存在していられるから たとえ 呼ばれたそのときに 存在していなかったとしても 覚えておいてほしいんだ 一人でも多く 覚えていてくれたら 僕はこの世界と つながっていられるから たとえ この世界…

サイレント・ナイト

騒ぐ子供たちを寝かしつけ 独り街を離れる吹きつける砂埃が 返り血と硝煙の匂いが 別人格の私を呼び起こす歌が聞こえる 巡礼者たちの祈りの歌地下の霊廟は 死に寄り添い 生者を取り込む「ありがとう」と祈る巡礼者たちの 額に銃口を押し付け、引き金を引く歌…